親鸞聖人伝絵 上

第二段


1201年の春、29歳となった親鸞聖人は、比叡山での修行生活に別れを告げて山を下り、ふもとの吉水で念仏の教えを説いていた法然上人を訪ねられたのです。

本来、仏教はだれもがもれなく歩める道を明らかにするはずなのに、いつの間にか特別な能力を持った偉い人たちだけの難行道になっている、という矛盾に悩みました。そして、そのままそこにいれば名誉もあり、衣食住にも困らない比叡山を単身離れ、法然上人の門弟となったのでした。

法然は、比叡山で知恵第一と讃えられた高僧でしたが、善導大師の『念仏衆生 摂取不捨』の一言に出遇い、天台宗を離れ浄土宗を開き、念仏の教えをただひとすじに説いておられたのでした。

法然上人に出遇い、親鸞聖人もまた、どんな境遇も 不思議のご縁 と引き受けていける大信心に生きる者となったのでした。




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