【その8】 お内仏に法名軸を掛けますが位牌ではいけないのですか

真宗では、ご先祖の法名(ほうみょう)を記した掛軸(法名軸:左の写真参照)をお内仏の両側の壁に掛けます。法名軸の代わりとして法名記(過去帳)も用いますが、位牌(いはい)は用いません。


他宗では、広く位牌(霊牌ともいう)が用いられています。世間で「火事など万一の時はお位牌だけは持って逃げるように」などと言われますので、真宗のご門徒からも「私の家では位牌がないのですが…」、「位牌を作らないといけないのですか?」といった相談をよく受けます。


真宗で位牌を用いない理由は、位牌が霊魂観に基づくもので、仏教にはそぐわないからです。位牌は元来仏教のものではなく、儒教あるいは神道のしきたりに由来するものなのです。


お内仏に位牌があると、お参りをする時に位牌の方ばかり見てしまい、肝心の阿弥陀如来と向き合わなくなるといった実際上の問題もあります。


仏様となられたご先祖は、お参りをする私たちに本願念仏の道を勧め励まし、阿弥陀如来と私たちを引き合わせてくださっているのです。私たちを導き見守っているご先祖への感謝を表して法名軸を掛けているのですから、その他にわざわざ位牌を作ってお荘厳(かざり)する必要はありません。


法名軸は、一つのお軸に一人ずつ(夫婦などは二人並べて)法名を書くものと、「総法名軸」といって、一つのお軸に歴代全ての法名を書くものがあります。


法名軸の代わりに法名記(過去帳)を用いる場合、尊前(須弥壇(しゅみだん)上、ご本尊とお脇掛のすぐ前)には置きません。ご本尊やお脇掛が隠れてしまわないように、前卓、あるいはそれより下などに安置してください。


次の質問【その9】へ

Q&Aの目次へ