【その7】 阿弥陀如来とご先祖様の関係について教えてください

ご先祖は、阿弥陀仏の本願によってお浄土へ還(かえ)り、仏〔諸仏(しょぶつ)〕になっておられます。そして、私たちが人生を全(まっと)うすることを、浄土から見守っておられるのです。


阿弥陀如来も、お釈迦様も、ご先祖もみな、私たち衆生のためにはたらいておられる仏様です。親鸞聖人はお手紙の中で「釈迦・弥陀・十方の諸仏、みなおなじ御こころにて、本願念仏の衆生には、かげのかたちにそえるがごとくしてはなれたまわず」(『親鸞聖人血脈文集』聖典595)と教えておられます。


一般的に「仏事とは、お内仏(仏壇)にお経をあげ、ご先祖が迷わないように供養することだ」と考えている人が多いのではないでしょうか。しかし、お念仏を申す身になってよくよく考えてみれば、「ご先祖によって、私たちがお釈迦様の説法を聞かせていただく法会(ほうえ)(阿弥陀仏の本願の教法に出遇う機会)を恵まれたのだ」といただくことができます。


そのご恩に気づいてみれば、ご先祖は間違いなく仏様です。そして、覚(さと)りからほど遠い、迷いの中を生きているのは自分たちの方であったことに思い至るはずです。


真宗では、阿弥陀如来をご本尊とするお内仏にご先祖の法名軸を掛け、命日の勤行をします。しかし、亡き人の成仏を願って我々の側から供養をする仏事をしているのではありません。仏事は、ご先祖を縁として私たちが仏法と出遇う大切な場なのです。


阿弥陀如来の「摂取不捨(せっしゅふしゃ)」のはたらきを感じる心とは、不思議にもご先祖との縁で賜ったいのちを喜び生きる心でもあるのです。そのいのちの歩みこそがご先祖(諸仏)の願いと恩徳に報(むく)いるということなのです。


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