【その2】 お内仏(ないぶつ)はどのようにお荘厳(おかざり)したらいいのですか
【三具足】

お内仏の扉の開閉は、朝に開けて夜閉じます。

上卓(うわじょく)上には火舎香炉(かしゃごうろ)華瓶(けびょう)を置きます。

※上卓が無い場合は、前卓上に金香炉を置き、土香炉はその前に置きます。華瓶は用いません。

   (金香炉)


平素は、前卓(まえじょく)上の中央に土香炉(どごうろ)、向かって右に燭台(しょくだい)〔ローソク立て〕、左に花瓶(かひん)を各々一つずつ置きます。

この状態を「三具足(みつぐそく)」と呼びます。

※「三具足」とは火舎(金)香炉と燭台、花瓶を指して言います。

土香炉は燃香(線香を燃じる)の為のものですが、三具足には含まれません。


仏花は、いつも絶やさないようにしましょう。



燭台(しょくだい)〔ローソク立て〕は、蓮軸をくわえた鶴が亀の背中に乗っている形のもの(鶴亀)を用います。

ローソクに火を点(つ)けるのは勤行(お勤め)のときだけで結構です。

ローソクを点けていないときは、代わりに朱色の「木蝋(もくろう)」を立てておきます。

右図は、三具足、五具足共に使用する、本尊に向かって右に置く鶴亀を例にとった説明です。
五具足の時に左に置く鶴亀は、右用と対称(鏡写し)に作られています。

「蓮軸のつぼみが内側、葉が外側になる」と覚えてください。
【本尊に向かって右の鶴亀の例】




【灯 明】

輪灯(りんとう)のあかり(灯明)は、お内仏の扉が開いている間は点けておきます。ただし、油を用いて灯芯に火を点ける場合は、お参りのときだけでも結構です。



【土香炉】

土香炉は陶製で丸形の物を置きます。普通、土香炉は青磁のものです。透かし彫りのある土香炉もあります。

土香炉には、お参りするときに線香を燃じます。


右図のように、香炉に入る適当な長さに折った線香二〜三本に火をつけて、灰の上に真横に寝かせて置きます。

◎香炉の灰に突き刺して立てないでください。



【上卓の荘厳】

ご本尊のすぐ前、須弥壇(しゅみだん)上に上卓を置き、その上に火舎香炉(あるいは金香炉)と、一対の華瓶(けびょう)を置き、お仏供(ぶく/ぶっく)を備えます。


華瓶には水を入れ、樒(しきび)などの青木を挿します。

お内仏に陶器の湯呑みなどでお水やお茶を供える必要はありません。

お仏供は、俗に「お仏飯(ぶっぱん)」と呼ばれていますが、「お仏供(ぶっく/ぶく)」が正しい呼び方です。

お寺では、常はお仏供を朝の勤行後にお備えして、正午にお控えして(下げて)います。

※名号のお脇掛にはお仏供は備えませんが、絵像のお脇掛(親鸞聖人・蓮如上人)にはお仏供を1つ備えます。

【ご本尊が木像の場合】

お仏供を上卓に1対備えます。
【ご本尊が絵像の場合】

お仏供を仏器台の上に1つ備えます。


(上卓の奥に仏器台を置いて、その上にお仏供を備えます。)





仏花やお仏供も、お内仏の荘厳(おかざり)の一つです。浄土を形に表し阿弥陀如来を讃嘆するお内仏に「備わっている」ものなのです。だから「お仏供をお供えする」ではなく、「お備えする」と書いているのです。



【打 敷】

打敷(うちしき)は、平素は掛けません。報恩講やお正月(修正会)、年忌などの法要の時と祥月命日(しょうつきめいにち)に上卓と前卓に掛けるものです。

報恩講の時には、燭台と花瓶を1対(五具足)にします。

【お鈴】

お鈴
(りん)は、勤行のときに用います。礼拝するだけなら、鳴らす必要はありません。


【写 真】

写真(遺影)はお内仏の中に入れないものです。部屋に飾るのはかまいませんが、お内仏の真上は避けましょう。


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