親鸞聖人伝絵 下

第六段


親鸞聖人は1262年11月下旬になって体調を崩されてからは、ただ阿弥陀如来の深いご恩への感謝だけを口にし、無駄口をせずひたすらお念仏を称えておいででしたが、11月28日、とうとうそのお念仏の息が途絶え、お釈迦さまの故事になぞらえた北枕で西を向き右脇を下に横たわった姿勢でその一生を終えられました。九十歳でした。

遺体は終焉の場所の京都の押小路の南・万里小路の東から、はるばる鴨川の東側の道を通って東山のふもと・鳥部野の南にある延仁寺に移されて火葬にされ、同じ東山のふもと・鳥部野の北の大谷という所に遺骨は納められました。

親鸞聖人の最期に間に合った門弟たち、あるいは聖人から教えを受けた人々は、それぞれ親鸞聖人の在りし日をしのび、聖人亡き今を悲しみ、慕い泣き伏すのでした。




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